千曲万来余話その342「シューベルト、ピアノ五重奏曲・鱒を聴いてオーディオ改善」

シューベルトの生きていた時代に、オーディオ装置があったわけではない。けれどもピアノ五重奏曲・鱒は、ヴァイオリン、アルト、チェロ、コントラバス、そしてピアノという具合で、オーディオ装置のチェックに最適である。ステージ左手側に弦楽器、コントラバス、チェロ、アルト、その前にヴァイオリンそして対する右手側にピアニストが背中で彼らの音楽を聴いて右手側に位置するのが理想とする配置である。    左スピーカーで弦楽器、右スピーカーでピアノという図式で、中央にアルトというのは、左右をつなぐ上で必要といえる。ピアノの右側配置が音楽的な対話の上で、左側にコントラバスがリズムを刻むとすると、その対比が絶妙であり、ステレオ録音の魅力全開であろう。今までそのような音楽に出会ったことは無くて、画に描いた餅、有ったらいいなという話で、モノーラルレコードで想像する世界。それにしても、コントラバスの音楽は、オーディオチェックに最適の音源である。この音響の広がり感は、低音域の出方を表現してチェックに都合がよい。CBSコロンビアLPレコードで、ミエスチラフ・ホルショフスキのピアノ、ブダペスト四重奏団員、1962年頃録音、雄大で新鮮な演奏、モノーラルだから古めかしいだろうという先入観念とは無縁のシューベルト演奏になっている。歌うようなメロディーライン、ぎっしりと隙のないアンサンブル、そして、躍動感と三拍子そろっている。      
 ここでモノーラル録音のアナログ再生法の技術について、指摘しなけばならない要点がある。それは、ピックアップ、カートリッジの針圧についてである。オルトフォンSPUモノの初期タイプAというものは、重めの圧がふさわしく、Cタイプは比較的軽めの6グラム程度のものという使い分けが必要となる。つまり、ステレオ針でも再生可能なのだけれど、モノーラルカートリッジの豊かな世界は、そのカートリッジにしか再生できない世界なのだ。   
周波数レンジというFレンジの広さは、広いだけでなく音圧が充実した手応えある再生が目的である。そして、針圧の調整により、左右の分離ではなく、一体感の広がりがポイント。中央につまり感があるのは、さらに、広がり感が求められる。それには、針圧による具合の調整が微妙だということ。    
 レンジが一番広いのはピアノという楽器で、弦楽器のコントラバスからヴァイオリンまでの音楽はその広がり感がたまらなく、愉悦感を与えてくれる。シューベルトは、そこのところ、うまく衝いている・・・音にではなく、音楽のために!