千曲盤来余話その52「モノーラル録音からステレオ録音への変遷」

LPレコードに、線は、いったい、何本くらい刻まれてあるのであろうか?
数えたことは無くて、見たところ一万本くらいで有ろうか?
答えは、一本。
一万本くらいというのは、その書き方が、まことしやかというモノである。
ステレオ録音は、一本の溝に、左と右の情報が記録されている。
有り体にいうと、ステレオ録音されたピアノの奏鳴曲ソナタなどで、二つのスピーカーを前にして、その音像は、中央に位置するのである。
左と右の情報からでも、イメージは、ピアノの存在は一台であり、二つのピアノの音はしないから、そこのところ、不思議ではある。
オーケストラの場合、盤友人が第一と第二ヴァイオリンの両翼配置に気がつきだしてから20年位が経過している。
左スピーカーから第一Vnの主旋律に対して、右スピーカーから装飾的な第二Vnの旋律が聞こえてくるのは、驚きである。
楽器の配置は、指揮者が決定していて、リスナーは、受け身であった。
だいたい、1955年頃からステレオ録音は開始されて、60年くらいが経過して、職業指揮者の良心が問われる時間が経過している。
オール クラシックミューズィック イズ ヴァイオリン ダブル ウイング!
クラシック音楽の全て、ヴァイオリン両翼配置である。
ロジャー ノリントンという指揮者は発言している。最近のNHK―Eテレでは、ヘルベルト・ブロムシュテットが発言していた。モーツァルトもチャイコフスキーも素晴らしい作曲家であると。彼らの現在の境地は、第一と第二のヴァイオリンをステージ両袖に配置して演奏しているのである。
現役指揮者たちも、ステレオ録音の価値にフィットしてきたと言えるだろう。