千曲盤来余話その56「新春に見た初夢2015」

今日は新年1月2日、朝起きて見た初夢を楽しんだ。
時は200年余り昔のとある王室の一部屋で室内楽を愉しんでいた。
クラリネット五重奏曲イ長調K581。クラリネットの他にヴァイオリン二名、アルト、チェロという編成だ。いやあ、客席の中には、作曲者であるウォルフガング・アマデウス・モーツァルトさんがいらっしゃるではないか。
フロアの中央にはクラリネット奏者、両脇にはヴァイオリン奏者が座っている。
その奥には、第一Vnの後ろにチェロ奏者、第二Vnの奥にはアルトが控えている。
そうだ、クラリネットの下手側には、ハーモニーの外声部、上手側には内声部がセットされていることになる。冬の星空に輝くカシオペア座を想わせる配置が嬉しい。
第一楽章、各パートのかけあいで、チェロが加わると奥行き間が増して聞こえる。
第二楽章では、春の曙、移ろいゆく夜から朝への雰囲気が感じられる。
第三楽章、きびきびした昼間の活動、終楽章では踊るような晴れやかな音楽、アルトの何回となくあらわれる憂いに満ちた節回しが印象的である。
1979年3月、ウィーン室内アンサンブル、アルフレッド・プリンツさんが、名録音を残していた。ヴァイオリンは、ゲアハルト・ヘッツェル、クラウス・メッツルさん方。
アルトは、ルドルフ・シュトレングさん、チェロはアーダルベルト・スコチッチさん。
プリンツさんは、惜しくも2014年9月20日に昇天されている。享年84歳。
ヘッツェルさんと、シュトレンクさん達は、1980年10月札幌厚生年金会館に登場している。モーツァルトの協奏交響曲変ホ長調K364、指揮は小泉和裕。ウィーン情緒がたっぷりの雰囲気有る演奏であった。退場する際のマナーで、ヘッツェルさんがシュトレングさんを引き立てて先に譲る謙虚さにほほえましさを感じさせられたことの記憶が鮮明であった。
今年も千曲盤来余話を、なにとぞよろしくお引き立て下さい。