千曲盤来余話その112「ドヴォルジャークのスラブ舞曲、躍動する生命力」

アントニン・ドヴォルジャーク1841年9月8日プラハ近郊ネラホゼヴェスに生まれ、1904年5月1日プラハ没は、8歳の頃蒸気機関車に憧れ、生涯それを愛したという。
音楽史的には、国民楽派という民族色の強い音楽家達の活躍した時期に重なる。
作品46は8曲からなる、チェコの舞曲集である。もともとは、ピアノの連弾のために書かれたものを、管弦楽曲として完成している。作品72にも、おなじく書かれていて全部で16曲からなるスラブ舞曲集だ。この曲の評判により、名声を確立したといわれている。
彼は、ブラームスを尊敬していて、強い影響を受けている。この音楽も、ブラームスによるハンガリー舞曲の成功に負うところが大きい。
1973年12月録音で、ラファエル・クーベリック指揮したバイエルン放送交響楽団の名演奏がある。
弦楽器の主旋律に、管楽器による合いの手、打楽器の多彩な音色で民族色豊かな音楽になっている。爆発的な音楽も、緻密な合奏の上に、生命力溢れるリズム、憂いのある旋律など、音楽的な魅力が満載である。
本来、ピアノ二台のために書かれていながら、それを脚色豊かな管弦楽法で作曲していて、まるで、リヒャルト・シュトラウスの多彩な音楽のオリジナルにあたるかのようである。
チェロとアルトの中低音のメロディーが奏されるとき、舞台の中央から聞こえてくるとき感動的ですらある。左右のスピーカーからそれぞれ第一と第二のヴァイオリンが聞こえてくるのは嬉しい響きである。
合奏が緻密であるということは、緊張感の高さを物語っている。
ヴァイオリンが左右に開かれているのは、合奏の完全性を求められのに対して困難性を伴っていると共に、爆発的な生命力の躍動感を伝えるのにふさわしい。
ラファエル・クーベリックは、指揮者としての偉大な存在感を示して余りある。