千曲盤来余話その113「LPレコードをクリーニングする」

レコードをかけていて、悩みの種は音のヒズミである。ピアノの独奏曲などを聴いていてよく気になる。この間、6月16日新月の日に、思い立ったLPレコードのクリーニングをした。札幌音蔵特製品のノン・アルコールの洗浄液(ERC-1000)とクリーニング・クロスである。
効果はてきめんで、ピアノの音にまとわりつく、ノイズ雑音が消え去ってしまった。
こうなると、新月の日のオーディオ、スピーカーの鳴り方の特長がよく表れている。
基音がすっきり振動している。それに比較してピアノの弦の振動感、余韻、倍音の鳴り方がおとなしい。
盤友人が、満月の夜は音の鳴りが良いと発信すると、誤解を生じているようだ。
そんなことってあるの?それじゃ新月の日は、音が悪いの?という疑問を持たれるようだ。
ふだんだって、いつも音の鳴りは、良いよ、満月だから音が良いって、単なる思い過ごし!というのである。
分かり易く言うと、基音と、倍音の鳴りのバランスでいうと、満月夜は倍音の音圧の比率が高いのだ。ターンというピアノの音にブーンという鳴りが良く聞こえるのである。
フィリップスレコードで、イングリッド・ヘブラーの弾く、バッハのフランス組曲を聴いた。1980年11月録音でピアノはスタインウエイのようだ。
フランス組曲BWV812~817は1722年から1725年頃に作曲されている。
ラモーは、1706年、クラブサン曲集第一巻を出版しているから、バッハの音楽は明らかにその影響を受けていると言えるのではないのだろうか?
そのように考えてみると、フランス組曲の魅力が浮き彫りになってくる。
装飾性の豊かな音楽は、クラブサン仏、チェンバロ伊、ハープシコード英、という楽器の音響をイメージさせて、それを聴いているであろう王様の境地に導かれ、至福である。