千曲盤来余話その137「名曲案内、ベートーヴェンの歌劇フィデリオ」

トマトは、くだものなかの?野菜なのか?と問われると、そんなこと、どちらでも良いといわれる。
昔、聞かされたことは、輸入するときの関税で野菜として扱われるのだよというものだった。
そもそも、くだものは、甘い物が多いからそうなのかあと、妙な納得をしていたものである。
それじゃ、スイカは、甘いからくだものか?
ではなく、野菜とのことだ。よくいわれることだが、木になる物は、くだものとのこと。ならば、スイカは野菜である。そうなのか、でも、甘いからくだもののような気もするけれどねえ。
序曲、オーバチュアーがある。古くは、バッハの管弦楽組曲の最初の曲に、あったもの。それが、歌劇オペラの冒頭の音楽をさすのに用いられるようになった。ベートーヴェンには唯一の歌劇フィデリオの序曲がある。
レオノーレ序曲第三番というものもある。これは、このオペラの第二幕の間奏曲として演奏されている。
フィデリオというのは、正義の政治家フロレスタンの忠実な男装の妻レオノーレの名前。そういえば、ハイ・フィデリティというのは、忠実音と訳されている。フィデールというのは、フランス語。
1814年5月14日ウィーン・ケルントナー・トーア劇場で初演されている。
B氏が作曲した音楽は、ドイツ語によるオペラ、台詞セリフも多く、悪を裁き囚人を解放する、民衆による、妻の自己犠牲と、理想の夫婦愛讃歌というのは、いかにも彼好みのオペラで上演時間は二時間ほど。フィデリオ序曲は10分弱のもの。レオノーレ序曲第三番は、15分弱。これは、このオペラのコンパクトなもので、よくできた音楽。間奏フルート独奏や、救済するフェルナンド大臣登場のラッパのファンファーレなど、劇的な盛り上がりがあり、胸が高鳴る。
モーツァルトには歌劇コジ・ファン・トゥッテ女はみんなこうしたもの、などというものもある。女性の貞節をめぐる恋人同士のドラマは、いかにもM氏ならではの音楽。こちらはイタリア語による1790年1月26日ウィーン・ブルグ劇場初演。フィデリオの方は、理想の女性像をもとめるベートーヴェンの歌劇オペラである。