千曲盤来余話その138「音楽用語の基礎知識、ソナタとは?」

ピアノ・ソナタという曲がある。ピアノ一台で演奏される。奏鳴曲というのが邦訳である。
ソナーレというのは、イタリア語で鳴らす、響かせる、演奏するというもの。ソナタの訳語としては、ピタリあてはまっている。明治時代の言葉として立派である。ソナタには、ハイドン、モーツァルト、ベートーヴェンという17~8世紀ウィーン音楽の作曲家に名曲がズラリある。ハイドンには、60曲、モーツァルトには、17曲、ベートーヴェンには、32曲のソナタがある。ちなみに、シューベルトには、21曲、ショパンと、ブラームスには、3曲ほどがある。
モーツァルトには、ピアノとヴァイオリンのためのソナタも43曲ある。断片、偽作もあって、曲数を数えるのは無理がある。ベートーヴェンには、10曲がある。シューベルトには、ソナチネ小奏鳴曲3曲、ロンド、幻想曲
二重奏曲など多数曲。ブラームスには、ヴァイオリンソナタは、3曲ある。
シューベルトの名曲アルペジョーネ・ソナタは、アルペジョーネという楽器のための書かれた曲で、それはチェロで演奏されることが多い。アルペジョーネというのは、チェロのように抱えられて、指板が、フレットといって、ギター状になっているもの。今では、そんなにお目にかかれない楽器である。
ソナタは、三楽章あるいは、四楽章の楽曲から成り立っている。ただし、ベートーヴェンの第32番は、二楽章しかない。そして、その第二楽章は、ジャズを思わせるようなスウィング感に満ちた音楽になっていて、不思議だ。
ソナタ形式というのは、第一楽章を構成している形式のこと。提示部、展開部、再現部、焼結部からなっている。
その提示部は、第一主題、第二主題からできていて、第一が男性的であるのに比して、第二は女性的という対比が構成されていることになっている。ちなみに、ベートーヴェンのピアノソナタ第五番、第六番は作品10の1と2でそれぞれハ短調とヘ長調。交響曲の第五番と第六番の調性と同じであるし、第五番のソナタの終曲には、タタタターという動機が、出現してくる。そのことは、一体、関係があるのか、ないものであろうか?