千曲盤来余話その146「オーディオのイロハ、たとえば半田付けの基本」

つい、音蔵社長の言っていたゲインの調整をしたことで、断線は起きてしまっていた。
パワーアンプからアッティネーターへの入力ラインコードの付け根で発生、マイシステムは、パワーとプリアンプの中間にデイボンのアッティネーターをかませているけれど、その入力は、キャノンプラグではなく、RCAプラグにしている。そのほうが良いという判断。断線を半田付けする際、他の古い部位を、付け直した。
その半田付けする時のコード、時計回りに圧着して、少量の半田付けを実行している。間近で観察、ラジオペンチ使用したそんな高度な匠の小技にほれぼれ、惚れ直してしまった。
大体、スピーカーの鳴り、音の張りがふくよかになった。余韻充分で、音圧が向上したことは言うまでもない。
いろはにほへと、ちりぬるを、わかよたれそ、つねならむ、うゐのおくやま、けふこえて、あさきゆめみし、ゑひもせす、ん。いわゆる、五十音図から、ヤ行のイとエの無い48文字と、んという49文字が、重ならずに全て、一文で歌われている。七五調、空海の時代は、五七調が主流であったから、その成立は、万葉時代ではなく、古今調時代の創作と考えられている。言葉のセンスと宗教的内容の一体が、ロマンである。
日本語は、言葉の表現にセンスを必要としていて、たとえばホルモンではマルチョウといって、直腸とは言わない。
イメージを操作して良い印象をあえて強いる。サンライズというのも日の出を、一度ひねると出る光になるといえまいか。印象の操作というのは、音楽の世界では、よくあることだ。
弦楽四重奏、現代の主流は第一、第二ヴァイオリン、アルト、チェロという横一列である。
ベートーヴェンの弦楽三重奏曲ト長調作品9の1、この楽器配置では、中央にチェロがあると、左右に配置された楽器の音響の一体が実現され易い。そこで、ヴァイオリン、チェロ、アルトという配置が基本といえる。
フィリップスのレコード、グリューミオートリオ、中央には、エヴァ・ツァーコ、上手かみてには、ジョルジュ・ヤンツェルのアルトが素敵である。この楽器配置を基本とすると弦楽四重奏、その右手側配置に第二ヴァイオリンが必然である。ベートーヴェンもその前提で作曲している。両翼配置という言葉が生きるからだ。