千曲万来余話その147「「空想室内楽音楽会、モーツァルト,B氏,シューベルト,シューマン,ブラームス・・・」

室内楽も色々あって、弦楽三重奏、弦楽四重奏、弦楽五重奏、ピアノ三重奏、ピアノ四重奏、ピアノ五重奏・・・
モノーラル録音LPレコードなら、なにも考えることはなくて、ただ音楽を愉しめば良い。ところがステレオ録音では、悩ましい問題を盤友人としては、考えてしまう。楽器の配置問題だ。
セッティングは、演奏者が決定するのだから何も考える必要はないと言うと、その通りなのだけれど、スピーカーに向かうからには、左右一対の音箱の鳴り方が気になるというものだ。ステレオ録音の醍醐味は、そこにもある。
作曲家は、作曲するだけで、セッティングは演奏者達の判断によるしレコーディングプロデューサーの意向も反映されるだろう。
だから、配置の問題は、盤友人の思考、嗜好、好みによるというわけだ。より楽しい音楽は、いかにあるのが良いかということ。作曲家の胸の内を空想するのも楽しみ方の一つである。
伴奏という言葉には、語弊があって、モーツァルトの場合、ヴァイオリンソナタは、必ず、クラヴィーアとVnのためのという具合だ。ヴァイオリンは左スピーカーからで、ピアノの音楽は右スピーカーから聞こえるのが自然だ。
これは、基本中の基本、スタートラインでもある。弦楽三重奏トリオは、チェロが中央にあることにより、音響のボディが左にヴァイオリン、右にアルト=ヴィオラが聞こえると収まりが良い。
ピアノと管楽のための五重奏曲変ホ長調KV452、ピアノは中央。左手側にオーボエとファゴット、右手側には内側にホルンそして外側にクラリネット。1784年3月30日ウィーンで初演。フリードリッヒ・グルダのピアノ、カールマイヤーホーファー、カール・エーベルト、ゴットフリート・フォン・フライベルク。アルフレート・プリンツによるドイツグラモフォンのLP名盤がある。ただし、このディスクでは、オーボエが右から聞こえる。
B氏は同じ曲作品16で1797年4月6日ウィーン初演。
ピアノ三重奏、四重奏では、左手側にヴァイオリン・チェロ・アルトが同様に良いだろう。右手側にピアノ。
シューマンやブラームスにピアノ五重奏の名曲が有る。ピアノが中央で左手側にVnとチェロ、右手側にアルトと第二Vn。シューベルトのピアノ五重奏曲・鱒は、コントラバスが加わり、第二Vnは、なぜか省略されている。
左スピーカーからヴァイオリン、チェロ、アルト、右手側にピアノを配置したい。コントラバスは、左手奥に配置して愉しみたい。ステレオ録音の右スピーカー低音という固定観念から解放されて初めて、新しい地平が広がる。