千曲万来余話その158「ローベルト・シューマン、ピアノ奏者ケンプの演奏で聴く」

ダーヴィッド・ビュンドラー舞曲集作品6は、1837年頃作曲された18曲からなるピアノ独奏曲集だ。
ビュンドラーというドイツ語は秘密結社員というもので、ダヴィッド同盟と訳されている。
この曲の演奏時間は33分ほどで、LPレコードの表と裏の二面にわたる。
良い音とは何か?
ピアノ一台による音楽を聴いていて、一つの答えが、導き出せるかも知れない。興味の尽きない、答えは一通りでありえない問いであろう。
アナログLPレコードによるオーディオ愉悦追求の道のりは、果てしがない。
現在の、ドイツ製品真空管アンプ、フィールド式電源スピーカー、電磁石によるもので、整流管ワンペアで数十万ほどするこのシステム、使用を始めて、21年が経過している。その上での話。
良い音とは何か?それは、興味尽きない、面白い音である。ピアノのディジタル録音からアナログ録音まで遡り、様々経験しているうち、ピアノ独奏曲を再生しているときに、合点がいった。
それは、倍音再生体験の追求であった。それは、あたかも作曲者シューマンの世界鑑賞体験でもある。
音楽は、ピアノ奏者の左手小指が、最低音であるハ音、Cの打鍵、音響に含まれているその3オクターブ上の倍音を鳴らすピアニストの技術で体験できる。
ヘルツ、振動数でいうと、大体、32ヘルツ前後が、最低音ハ音、Cの音。その2オクターブ上というのは、大体132ヘルツ前後で、中央ハの音は、261ヘルツほどで、その舞曲集は最低音ハ音とこの音を鳴らしてお仕舞いになる。これは、倍音を聴かせる音楽である。
NHKラジオによる時報の音は、きっかり440ヘルツと880ヘルツで、現在のオーケストラ、チューニングするオーボエの音は、Aラの音442ヘルツで共通している。バロックピッチというラの音は、大体415ヘルツ、ピアノでいうと、半音、ラのフラット変音で黒鍵に相当する。
ウイルヘルム・ケンプ、1895年11月25日ベルリン近郊ユータポク生まれ、1991年5月2日イタリアの避暑地ポジターノで没している。彼は、ドイツ・グラモフォンで多数の録音を残している。その1967年頃録音のディスクにシューマンのこの舞曲集がある。彼の弾くピアノ音楽、多数のLPレコードは、コレクターにとって必須のツール、アイテムだ。