千曲万来余話その177「ピアノ三重奏曲ト短調作品25、スメタナの名曲を聴く」

チェコ国民楽派の祖、我が祖国の作曲者として高名なスメタナ、1824年3月2日リトミシュル生まれ。1884年5月12日プラハ没、彼の命日はプラハ音楽祭の最終日として知られている。その日の我が祖国と共に5月1日開祭日にはベートーヴェンの合唱付き、第九交響曲を演奏するのが習わしとか。逆だっかな?
スメタナが34歳、最愛の長女を失った哀しみに追憶してト短調のピアノ三重奏曲は作曲されている。
第一楽章モデラート、アッサイ中位の速さで、充分に、第二楽章アレグロ快速で、マ・ノン・アジタート、それほど激せずして、第三楽章フィナーレ、ブレスト急速にという三楽章形式。ト短調では、ドボルジャーク彼は1841年プラハ近郊ネラホヴェス生まれ、1904年5月1日プラハ没で、ピアノ三重奏曲第三番作品26がある。
ボーザール・トリオの名演奏で聴く。1954年、タングルウッドにおけるバークシャー音楽祭でデビュウ。翌、1955年正式に結成された。当初、メンバーは、メナヘム・プレスラーのピアノ、ダニエル・ギレーのヴァイオリン、バーナード・グリーンハウスのチェロ、1968年ヴァイオリンをイセドア・コーエンに交替している。
ピアニストのプレスラーは、現在でも現役として活躍している。同トリオには、名盤が多数ある。
さて、スルタナの美しい音楽は、三歳で上手に歌うことができたという愛娘の翌年の死に際して作曲されている。開始ヴァイオリンの悲痛な調べに、ピアノが続いて、チェロそしてピアノへと、アンサンブルは歌い継がれていく。
フィリップス盤のステレオ録音LPレコードで聴くことができるのだけれど、いつものごとく、左チャンネルには、ヴァイオリン、右チャンネルには、チェロが配置されていて、ピアノは、中央の奥に定位する。
大多数のステレオ録音、その演奏風景写真によると、そのようではあるけれど、カザルストリオの写真では、左のサイドにはパブロ・カザルス、中央には、ジャック・ティボー、右サイドにアルフレッド・コルトーの姿が見える。
Aチャンネルに、チェロとヴァイオリンというストリングス弦楽器、Bチャンネルに、ピアノという配置は面白いであろう。実際にステージ上で、ヴァイオリンとピアノが左右対称で、中央奥にチェロが考えられる。
ステレオ録音は、大多数の配置で、それは別に問題ないのだけれども、ピアニストのアイコンタクトでは、振り向くと、解決する問題だから作曲者のイメージ、果たして、ベストなセッティングは、どのようなものか?考えてみるに楽しい課題である。盤友人には、現在の配置が唯一絶対とは思われない。ピアノトリオの生の音楽で可能性を確かめたいものである。
特に、チャイコフスキーのピアノ三重奏曲、偉大な芸術家の思い出、などで。