千曲万来余話その191「バッハ、無伴奏ヴァイオリンソナタ・パルティータの名演奏」

ヨハン・セヴァスティアン・バッハ1685.3.21アイゼナッハ生~1750.7.28ライプツィヒ没、音楽の父と言われる大作曲家にはBWVバッハ作品番号1001から1006の六曲がある。
1、3、5が、ソナタで、2、4、6がパルティータ、その違いは、ソナタが4曲の楽章からなっているものと、8、5、7曲の舞曲からできているものとの違いである。それは、アルマンド、ジーグ、メヌエット、サラバンド、シャコンヌなどがある。
ヴァイオリン・ソロ無伴奏のためのソナタ、パルティータ。
ジョルジュ・エネスコ1948年頃、ヘンリク・シェリング1955年、ステレオ1967年。
ヤッシャ・ハイフェッツ1952年10月。ナタン・ミルシテイン1955,56年、ステレオ1973年。ヨゼフ・シゲティ1959、60年。イダ・ヘンデル1995年などと名演奏が録音されている。
アルテュール・グリュミオー、Ⅰ、Ⅵ曲1960年11月、Ⅱ、Ⅴ曲61年7月、Ⅲ、Ⅳ曲61年3月録音。
特に、第二番ソナタ、パルティータは、気迫のこもった演奏が記録されている。
ソナタ第三番ハ長調は、聴いていると不思議な感じがする。それは、裏板を微妙に鳴らすからである。その技術は、音域にある。スイッチを切り替えて操作するようなものではなくて、魔法マジックである。ハートポスト、魂柱こんちゅうで伝えて、裏板を振動させるのは、至難の業、達意の技術である。楽譜の読み込みはもとより、独奏者として完成の域に達した者のみ、その音楽を記録している。
グリュミオーの第三ソナタ演奏は、ゆとりのあるものに仕上がっている。
シャコンヌは、死者葬送の音楽でもあり、気力の充実、迫力が要求される。その点で、G氏は渾身の演奏である。なにより、彼は、クララ・ハスキルとベートーヴェンのVnソナタ全集を56年57年に完成しており、それは、ハスキルの入魂の演奏の記録として価値が高く、触発されたG氏の名演奏を成立させたものといえる。その女神ハスキルの突然の訃報が1960年12月7日に届けられた。
グリュミオーは、1921年3月21日ヴィレペルヴァン生~1986年10月16日ブラッセル没
パリでジョルジュ・エネスコに師事したこともあり、フランコ・ベルギー楽派の継承者と讃えられている。
彼の録音の多数は、名器ストラディヴァリウスで果たされている。