千曲万来余話その232「モーツァルトの愉悦、バドゥラ=スコダとバリリによる名演奏」

1756年1月27日ザルツブルグの宮廷作曲家レオポルト・モーツァルトの第7子として誕生したヨハンネス・クリソストムス・ウォルフガング・ゴットリープ、のちにいうウォルフガング・アマデウス・モーツァルトに命名されたものだ。
1791年12月5日午前0時55分ウィーンにて永眠、翌日午後3時最期の祝福を受けて聖マルクス共同墓地に埋葬されている。
1778年初夏、パリにてプファルツ選挙侯妃に献呈されたソナタ、クラヴィーアとヴァイオリンのためのK304ホ短調という名曲、名演奏は多数ある。中でも、1958年ウエストミンスター録音のパウル・バドゥラ=スコダのピアノ、ワルター・バリリのVnによる演奏は抜群である。
盤友人は、モノーラル・カートリッジ、オルトフォンのC25初期型青ネックのものを、ダンパー交換してかけ直し、その名録音、名演奏に驚きを禁じ得なかった。針圧は6,0グラム。 ワルター・バリリ1921.6.16ウィーン生まれは1939年ウィーン・フィルのコンサート・マスターに18歳で就任、1960年頃、腕の故障によりリタイヤ。バリリ弦楽四重奏団の活動では、名録音を多数残している 絶品中の絶品とまで讃えられるモーツァルトのソナタ集は、37歳で録音している。
バドゥラ=スコダ1927.10.6ウィーン生まれのピアノの響きは、豊かで、滋味豊富、スタジオの空気感がよく伝わる。音響のプロポーションがふくよかで、演奏されるテンポがつぼにはまっている。最良の、ベーゼンドルファー、これはウィーンのピアノメーカーの名前、による演奏が記録されている。 バドゥラ=スコダの名演奏に、合わせているバリリの演奏もそれと同じくらいの名演奏。
ヴァイオリンの弓使い、フレージングが巧みで、普通ではない味わいがある。ホ短調という調性の表すペーソスが、的確であり、たまらない魅力を放っている。現在このお二人とも、ご存命だ。 室内楽というジャンル二人のアンサンブル合奏の魅力が、再生する愉悦をもたらしてくれるだろう。 これは、盤友人のささやかな喜びの一つである。