千曲万来余話その275「コントラバスは、何挺か?」を掲載。 by盤友人。

先日、BSプレミアムシアターで、小澤征爾さんは、ベートーヴェンの頃、オーケストラは余り大きくなかっただろうね、という発言をされていた。
昭和55年5月1日発行のレコード芸術別冊によるとオーケストラ入門ということで、藤田由之氏の記述には、●昔のオーケストラの規模として、モーツァルトのおそらく、交響曲第34番で、ヴァイオリン40、ヴィオラ10、チェロ8、コントラバス10という大規模の弦楽器群と倍加された管楽器で演奏されているという。
1814年、ウィーンでベートーヴェンの作品の演奏会が催された時は、第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリンが各18、ヴィオラ14、チェロ12、コントラバス17、コントラファゴット2と書き残されているという。
ハイドン、第二回のロンドン訪問の時、オペラ・コンサートのオーケストラは、第一と第二ヴァイオリンは各12、ヴィオラ6、チェロ4、コントラバス5、木管楽器が各4というように、かなり大きな編成であるという。 「ここで、第一と第二ヴァイオリンが同じ数であるところに、ご注意いただきたい。
現代では、第一と第二では、1プルトだけ減らす傾向にある。これは、楽器配置が並べることにより、区別化を図ることに依る。作曲者の時代は、両翼配置であったから、同数なのである。このことは、大きな違いである。前提として、弦楽器配置の相違により、違えているということが分かるのだ。
オーケストラのサイズ決定で一番大きな要素には、演奏会場の大きさによることがあるだろう。
いずれにしろ、ベートーヴェンの頃は、大体小さかったというのは、決定的な事実とは異なり、あいまいな見解なのであろうということ、それより決定的なことは、第一と第二ヴァイオリンが同じ数であったといえることだろう。前提としては、弦楽器配置の問題こそ重要なのである。だから、小規模のオーケストラ編成にこだわるよりかは、こだわるべきは、ヴァイオリン両翼配置だということはできないのだろうか?
コントラバス5挺だとしたら、チェロ6、ヴィオラ8、第一と第二ヴァイオリン各12、というサイズで中規模オーケストラ編成は成立する。そして、作曲者ベートーヴェンの時代を再現しようとするならば、それは、現代主流の合奏形態を見直して、楽器配置を決定しなければなるまいということだ。現代のアンサンブル、合奏能力としては、可能な話であるだろう。
なぜ作曲者時代の演奏にこだわるのか?といえば、ベートーヴェンの音楽とは何か?というモチベーション動機が、出発点にあたることによるのだと考えられる。現代の落とし穴は、演奏し易いという選択にあることは想像できるであろう。そのことに指揮者達は気付き始めたのが、21世紀のオーケストラ・コンサートなのではあるまいか?10月2日北海道立三岸好太郎美術館に足を運んだ。 齋藤秀雄チェロ独奏、近衛秀麿指揮新交響楽団1933年1月25日演奏会風景、ハイドンの協奏曲ニ長調は、コントラバス奏者五人がクッキリと下手側奥に描かれていた。CDコンパクト・ディスクを聴くのは、そういう音楽に出会う悦びにある。