千曲万来余話その713「ショパン作品集、I・モラヴェッツの愉しみ方・・・」

 チェコスロヴァキア出身ということは中央欧州のとりわけスラブに近い印象がある。イヴァンというファーストネイム、というより彼自身ピアノ演奏の与えるイメージは、穏健なものであり彼のエピソードとして、自身が楽器の調律を実際に実行しているというもの。チェンバロなど、キタラ小ホールではレオンハルト、小林道夫など楽器の調律をプログラムの合間に実施していて、聴衆の一人盤友人も彼らの耳、調弦する実際に耳をそば立てる体験をしている。それは実に貴重な体験で小学生の時分からピアノの調律では実体験をしていた。
 バッハには、平均律クラヴィーア曲集24巻がある。1オクターブには12音という主音にして、12の調性音階を組み立てられる。24巻というのは、長調と短調の2種、ハ長調、ハ短調、嬰ハ長調、嬰ハ短調のように全てを網羅している。ショパンでは24の前奏曲集があり、同じ趣向で作曲されている。ここで、平均律と純正調の違いについて簡単に、触れてみたい。主音と第3音の関係には長3度と短3度の音程があり、長調と短調の関係に繋がりが有る。そこで純正調の時に3度の音程はその間隔は狭目であり、調和性は美しく、揺れは起きていない。ところが平均律の時、これは広目であり揺れが起きる。だから、モラヴェッツの調律ではこの調性を純正調の様に主音ごとにチューニングしていることが予想される。彼のレコードを再生する時に、その実感は驚きとなる。
 イヴァン・モラヴェッツは1930年11/9プラハに生まれ、1957年にイタリアの巨匠ベネディッティ・ミケランジェリは、彼を受け入れて広く公衆に紹介、活躍の場をロンドンに、1962年春には米国ニューヨークでレコーティングに成功している。1965年にはシカゴデビュー、シュパン・ピアノの詩情として知られている。
 オーディオの成長は、それはあたかも大樹がごとき、白物家庭電化商品と異なるところは、希望する方向に働きかける、札幌音蔵社長KTはドイツ市場にパーツ、クラングィルムのヴィンテージ商品を入手して、オイロダインというスピーカーのポテンシャルに近づけるアプローチに迫る。実際、5月に入り単線布撚銅線を採用して格段に性能向上を実現した。良い音とは何か?それは再生するレコードの演奏を、実演の如くに再生された音の事を言い、ハイフィデティHIFIとは高度忠実性、生身の音楽を味わうがごとしである。ベートーヴェン唯一の歌劇「フィデリオ」とは忠実なフィデリオというまでである。モラヴェッツは細心のタッチでショパンのノクターン夜想曲を演奏、いかにもショパンのポエトリィ、詩の風情を演奏している。言葉ではなく音の詩情という。
 スタインウエイをドイツ語でシュタンヴェィグはニューヨーク製品のグランドピアノ、ルーヴィンシュタインや、ミケランジェリらが終生、愛奏した名器なのだが、グランドピアノの個性は、色々である。このクラシックス・レコード・ライブラリーCRLでの音色は、その艶やかな音色再生に成功したとき、華やかさよりも素朴な揺らぎの無い倍音成分の味わいから「ボールドウィン」?のような感じがする。研ぎ澄ましたタッチというよりも、軽やかで力みを感じさせない、素朴さから無双の境地、テンポの設定も不自然にならず自然さに訴える、好ましいチェコ人らしい中庸性を感じさせて、好きになる。
 その昔、全国のバッハファンの皆さんこんにちは、というFM放送で角倉一郎先生によるバッハ鑑賞した世代50年余り前の話で恐縮の極みだが、朝のバロックといったFM放送も6~7時辺りの音楽鑑賞で実際、電源のクリアな時間帯つまり、きれいな音でFM放送は普通に良い条件環境のオーディオにとり理想的な鑑賞時間であったのだ。レコード再生もこの時間帯が実に嬉しいとは・・・