千曲盤来余話その76「小説的二大美人アーティスト列伝」

女性アーティストというと、ジャケット写真によって、容姿を愉しめて、想像の世界が広がる。ピアニストでも、声楽家でも、姿は音楽と無関係なはずではある。
ポートレイトの有無はおまけというものだ。白人女性というと、現役では、ピアニストのアンネローゼ・シュミットさんなど、女優を彷彿とさせる。
LPレコード、ピアニストの世界では、別格の存在が居る。 マルセル・メイエル1897,may22リール~1958、nov18パリ。仏人。 アルフレッド・コルトーらにコンセールヴァトワールで師事している。
1953年ピアノ録音による、ジャンフィリッブ・ラモーの鍵盤楽器組曲のリリースは、衝撃的な出来事だったようである。DFディスコ・フランセ盤。
日本人映画女優でいうと、目鼻立ちは原 節子的存在。 そのピアノは、なぜかオールドのスタインウエイで、いつもは、プレイエルを使用していたみたいだ。録音技師アンドレ・シャルランの優れた製作による。 初版盤は、高額な価格である。その音は、倍音豊か、音圧が高く、オーディオのグレードにより、再生に成功するとその愉悦は微笑みをもたらしてくれること、受け合いである。
声楽家に目を向ける。 ブルーノ・ワルターとの共演で有名だったのがキャサリーン・フェリアーというコントラルト、アルト歌手。 1912、apr22ハイア・ウオルトン~1953,oct8、癌のために急逝。英国人。
1952年マーラーの大地の歌など、周囲の人たちを感嘆させていたと言われている。 シューマンの女の愛と生涯など、絶品。盤友人など、自分の母親の声を連想させてもらい、親密感を与えてくれる幅広く柔らかい歌声である。
41歳の生涯は惜しみて余りある。 佳人薄命とは、キャサリーン・フェリアーにあてはまり、その数少ないレコードは、宝物である。

  ●マルセル・メイエ                           ●キャサリン・フェリアー