千曲盤来余話その78「バッハ、無伴奏Vnソナタ・パルティータ」

バッハ作品番号の1001から1006までの六曲は、無伴奏のヴァイオリン曲集。
1、3、5はソナタで、2、4、6はパルティータから編集されている。
ソナタは、第一楽章から第四楽章までの四曲に対して、パルティータは、プレリュード、アルマンド、サラバンド、メヌエット、シャコンヌ、ブーレⅠ、Ⅱ、ジーグなど、舞曲集からできている。
BWV1003をヨハンナ・マルツィのミソス復刻LPレコードで聴いた。
フォノイコライザーの真空管ECC81、通称12AY7のものを、シルヴァニアのロングプレートタイプに、差し替えている。見た目で、プレートのサイズが、二倍くらい長さで異なる。
音蔵のプリアンプ、6SL7というGT管を1940年代のオールドタイプに差し替えている。
再生した音楽の印象が以前とはかなり、違ったものとなった。
楽器の鳴りっぷりが、一段と鮮明になり、胴体の音響が鮮やかになっている。
ザ・ストラッドという英国のSP復刻LPレコード集で、フリッツ・クライスラーの1910年のものを再生しても、その印象は鮮やかであった。これは、バッハの無伴奏ではないのだけれど、ヴァイオリンの音響再生に成功していて、表と裏板の印象が一際鮮やかなのである。
マルツィのヴァイオリンにもどすと、弦をこすった後の表板の振動感が再生されて伝わってくる。BWV1005などは、裏板をガシッ、ガシッと鳴らす様子がよく再生されている音楽になっている。
オーディオ装置のグレードアップが、音楽の再生と合い結びついて、演奏者の気迫、ヨハンナ・マルツィの芸術を再生することが、悦びに変わるのは、レコードコレクター冥利に尽きるというものである。