千曲万来余話その280「美人ピアニスト、アンヌ・ケフェレクの名盤、ラヴェルとシューベルト」を掲載。

アンヌはエラート・レーベルに録音を残している、佳人演奏家系譜に属するフランス人ピアニスト。
1948年1月17日に生まれた生粋のパリジェンヌ、父親は、不確かな記憶によると小説家なはず。 16歳でパリ音楽院入学、翌年首席で卒業、そして室内楽クラスも首席で卒業、1966年ミュンヘン国際コンクールでグランプリ獲得、1967年、リーズ国際ピアノコンクール5位入選を果たしている。
1970年ウィーン、デビュー。1975年初来日、華麗なキャリアを残している。
彼女のLPの一枚、ラヴェル作曲クープランの墓は使用ピアノにスタインウエイのクレジットがある。1917年に作曲された全六曲からなるピアノ独奏曲集、彼は、作品番号をうっていないらしい。番号にこだわらないというこだわりがあるかのようだ。 前奏曲、フーガ、フォルラーヌ、リゴードン、メヌエット、トッカータという曲からなる。 軽妙で、リズミック、宮廷舞曲を使用するなど、エスプリの極致で作曲している。二百年ほど前の作曲家フランソワ・クープラン1668~1733へのオマージュ敬意のしるしである。
アンヌの弾くスタインウエイの音色は華やかで、色彩感豊かである。彼女の1976年頃旧録音。
1971年頃録音に、フランツ・ペーター・シューベルト1897~1828楽興の時作品94、D780がある。没後年の春にウィーン、ライデスドルフ社がモーメンツ・ムジーコウと名付けて出版したものらしい。音楽のひとときという意味の邦題は、言い得て妙。的確なタイトルで、第三曲ヘ短調ロシアの唄が、特に有名。ラッタラッタ・ラッタラッタ、タッタラタッタ、タラララ、タラララ・・・・ 盤友人としては、第二曲がオーディオの醍醐味のチェックとして好適だと思っている。遠くで鳴る教会の鐘、夕闇の中に聞こえる鐘の音がピアノの音楽で上手に表現されている。倍音たっぷりの演奏は、ピアニストが何を耳にして演奏しているか?よく伝わってくる。
ジャケットには、使用ピアノ、ベーゼンドルファーのクレジットがある。
ピアノメーカーの種類による違いの聞き分けが容易で、いかに、情報明示が重要か?という証左。
そういえば、東京2020の諸問題で、女性東京都知事の政治手法として問題解決方法の公開を目指している。旧来型老男性政治家による密室での決定手法を截然と区別していることに興味深いものがある。だいたい、音楽の世界でも、ピアノフォルテという楽器は、ピアノで済ませていたのが、日本人的思考傾向であった。情報明示は、ほとんど無かった。フランス・エラートのLPレコードは、すでに、シャケットに表記されている事実、日本型音楽文化受容方法をこれからは、かの女性知事のスタイルのように進めていくことを、盤友人として歓迎する他はない!