千曲万来余話その311「シベリウス、交響曲第二番カラヤン指揮フィルハーモニア管弦楽団」

イギリスの優秀な管弦楽団、フィルハーモニア・オーケストラ・オブ・ロンドン。 1945年、EMIの大物プロデューサー、ウォルター・レッグによって組織された。録音専用とはいえ、同年10月28日、トーマス・ビーチャム卿の指揮により最初のコンサートが開催されている。 オーボエにはシドニー・サトクリフ、フルートにはガレス・モリス、40年代末から1957年8月まで、首席ホルンにはデニス・ブレインなどというビッグ・ネイムがずらりとそろっている。一時期第二ヴァイオリンには、ネヴィル・マリナーの名前もあったし、リヒャルト・シュトラウス、アルトゥーロ・トスカニーニも指揮台に立つなど、その存在は世界的なものに高められた。
ワルター・ジュスキント、イッサイ・ドブロウエン、アルチェオ・ガリエラ、オットー・アッカーマン、パウル・クレツキ・・・更には、ウィルヘルム・フルトヴェングラーまでも指揮するなど、短期間に飛躍的なレコーディング活動をこなしている。1951年から本格的に関わってきたのが、ヘルベルト・フォン・カラヤンで以後十年間に、八十点ほどの、半数がモノーラル録音、そしてステレオ録音を残した。彼は1908年生まれだから四十歳代、壮年期の活動だったといえる。モノーラルでは、チャイコフスキーの第五交響曲1952年5月録音、ステレオではシベリウス、第二交響曲1960年3月録音が、極め付きの優秀演奏、録音といえる。まだまだ名演奏はあるのだから・・・、まあ、どれもどれも、名録音といえるのだろう。名プロデューサー、ウォルター・レッグの業績。
モーツァルトのホルン協奏曲集、カラヤン指揮でデニス・ブレインが吹奏するベスト・レコーディングだ。
デニス・ロスではあるけれど、シベリウス、第二交響曲は鉄壁のアンサンブルを誇る素晴らしいLPレコード。木管楽器ではオーボエの演奏が、そっくり、フルートの演奏にへと、アーティキュレーション、節回しが受け渡されるなど、すこぶるつきの優秀演奏が記録されている。
金管楽器など、きらびやかな音色、明快、軽快な演奏、素晴らしいハーモニー、トランペット、トロンボーンの一体感、ホルンも加わった充実した合奏、アンサンブルがオーケストラのスタンダードたりうるものである。
そのなかでも、弦楽器は、華麗な音色を誇り、ヴァイオリンが左右のスピーカーから放射されるように聞こえるのは、シベリウスの第二交響曲ニ長調作品43。これは、他の同曲LPレコードからは、経験できないものといえる。
カラヤンというと、ベルリン・フィル、ウィーン・フィルが代名詞、だけれど、フィルハーモニア管弦楽団とのものは、不滅である。だがしかし、そのためには、アナログ再生システムが前提となるであろう。
モノーラル録音には、モノーラルカートリッジがベスト・フォーム。
何を言っているの?コンパクト・ディスクでも聞けるのではないか?そうでないと、不自由ではないのか?と反応されるだろう。それは、その通りなのだが、アナログシスタムは、デジタル音響とは、スピーカーから経験できる、音圧、倍音など、ほとんど、似て非なる世界なのだ。
趣味の世界は、理屈でなく感覚の世界なので、わからない人には分からない、分かる人には・・・