千曲万来余話その594~「チャイコフスキー、Vn協奏曲ニ長調ユリア・フィッシャー、銘器との出逢い・・・」

 オーディオで、良い音を求めるモチベイションを日々新たに40年余り、つくづく試行錯誤の毎日と思われてならない。交流電源にはコンセントが有って 11という受け口がある。普通では、左側がコールドとしてアース側電流の行き先出口である。右側がホットといって極性としてプラス側の電流送り出し側入り口である。中学生の時、左側はビリビリ来ないんだという体験が有った。ところがである、設定が確実でないことは時々あるもので、我が家のリスニングルームは、壁のコンセントが左側ホットになっている。つまり、交流電源ではどちらでもあり、の話ということであり検電ドライバーでチェックすると容易に識別可能となる。
 新月の夜は、スピーカーの鳴りはスマートということで、チューニングするに絶好のコンディションである。盤友人のセットで60ヘルツ交換機の次に電源トランスを繋いでいる。そのコンセントのチェックをしたところ、5/12新月夜で左ホット側ということが初めて(不覚ではあった)判明された。そのことにより、差し込む電源プラグをすべて、左側にクレジット書きの電線を配線する整えを実行した。
 我が家のシステムで電源プラグの差し込みは4段階ある。壁面、60ヘルツ交換機、電源トランスそしてフォノイコライザーやコントロールアンプ、電源トランスとして別個にパワーアンプというものである。交流電源というのは、直流のプラスマイナスという極性とは異なり、11のどちら側にホット、コールドがきても異状とはならないのだが、ホット側を左右のどちらか統一することにより、結果、スピーカーから出てくる音に違いが出てくる。クリアな音質が保証されることになる。新月夜は、スピーカーの鳴りが悪くなるのではあらず、クリアになるので、その違いが明確になる。満月夜は振動が豊かに鳴り、その違いがあいまいになる。だから、新月夜はチューニングに最適なのだろう。
 四月、五月とたて続けにヴァイオリン協奏曲の演奏会を経験して、おやっと、思ったことが有る。どちらも、貸与された銘器ストラディヴァリウスが使用されていた。片や耳にしたとたん、鳥肌が立つようなワクワク感を覚える楽器の鳴りを耳にした。ところがである。片や技術性の誇示された演奏でテクニックを聴かされるような感覚で楽器の鳴りによる、ワクワク感は無かった。この経験は、大変に貴重なものであって、ああ、銘器はワクワク感で判別されるというものだった。
 オーディオで、レコーディングされたヴァイオリンの鳴りっぷりは、電源で極性の統率コントロールに、結果は明瞭になる。ペンタトーン盤KKC-1133/4(2LP)で聴くことのできるヴァイオリン奏者はユリア・フィッシャー1983.6/15ミュンヘン生まれ、楽器は「グァダニーニ」の可能性がある。クレジット表記が無いために推察の段階、ストラッドではなく、エリカ・モリーニなどで耳なじみのある音色を聴くことができる。
 ピヨトール・イリイッチ・チャイコフスキー1840.5/17カムスコ=ヴォトキンスク生まれ~1893.11/6ペテルブルグ没のVn協奏曲ニ長調作品35は1875年頃、作曲者が当時の若きレオポルト・アウアーに出遇い作曲依頼を受けてゆううつなセレナード・ロ短調が作曲されていて1877年10月スイスの保養地クラランに滞在、1878年ラロのスペイン交響曲を知らされて以来、あたためていた協奏曲は1ケ月で完成された。捧げられたアウアーは演奏不能の烙印を押し、このため1879年ウィーンにてブロツキーにより初演された。
 指揮ヤコフ・クライツベルク(サンクト・ペテルブルク生まれで2011.3/15に51歳モンテカルロで病没)は、明確な旋律線メロディラインを心掛け、テヌートを効かせるも、クレシェンドさせることなく、清潔な音楽づくりに成功している。切れの良いユリヤの音色は、終幕でピカッと光彩を放っている・・・