千曲万来余話その706「また第九、K氏は悪魔さんといっしょに・・・」
ティンパニーは大活躍して、けれどしかし一体いかなる音楽なのか?などお考えにはならないものだろうか。交響曲9番は第2楽章モルト・ヴィヴァーチェ充分に、生き生きとして。田園交響曲作品68では第4楽章にだけ雷鳴の轟の如く活躍するその16年後1824年5月にウィーンで初演された。B氏21歳の1792年12/18に父ヨハンは死去52歳、ベートーヴェンは父の享年と同じ年1823年作曲にとりかかっている。なお20歳のときにはカンタータを2曲ほど作曲していてそれはハイドンの目にとまっていたものである。
英雄交響曲はナポレオンに関わり創作されていたのだが、個人への献呈は無く当時のウィーンでは郊外で侵略軍隊の大砲が、もしかすると、この第2楽章のモチーフになっているのではないだろうか? 交戦の砲声が鳴り響いていた市街戦の様子というカリカチュアになっているのではないだろうか。
札幌では13と14両日キタラホールで第九演奏会がなかなかの入り具合で盛会だった。特にフルートが爽やかにアンサンブルを構成していて、オーボエやクラリネットとの音楽性が抜きんでていた。ファゴットの支えも盤石、という演奏の指揮者は管弦楽団員からの信頼を得ていて、その歌謡性は軽快であった。第2Vnが口火を切る16分音符の刻みも明快で全体を通して快活な演奏で印象的、男声を挟み両側が女声の配列も功を奏していたものである。何よりもコーラスの皆さんは肩の力を抜いた歌い口で、よくオーケストラと縦の線が乱れることなく仕上がりを見せていたのは出色である。ホールからの帰り道にコーラスマスターの先生も指揮者のリハーサルの充実を称賛していて、音楽の色々な新しい姿を経験して、とても新鮮な驚きという評価だった。
オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団と、1957年10月の録音、弦楽の配置は古典配置を採用していて、第2楽章、第2Vnからアルト、そしてチェロ、それが第1Vnへと引き継がれ、つながる、演奏は素敵である。このレコードSAX2276はマスクメロンといわれるレーベル、ステレオ初期ファン垂涎のものである。オリジナルは入手価格が破格であり、通常レコード価格の0がひとつ追加されるものである。
オーディオというものは、まるで悪魔の囁きに導かれてグレードアップの階段が展開されていく。何故に、オーディオにお金をかけるのか?と聞かれると、そこに「札幌音蔵」があるからと、盤友人は答える。本当にパーツのコンデンサーや抵抗、線材、真空管などのステップアップを積み重ねることにより、LPレコードの溝に刻まれた情報は豊かに鳴り、たとえば、フィルハーモニアOのフルート首席奏者はガレス・モリスであり、黒檀エボニー製の音色は唯一無二、この楽器を吹奏して倍音の豊かさには、何物にも代えられない歓びが伝わるのであり、オーディオグレードアップの成果は、その音楽性の果実である。たとえば、チェロが斉奏ユニゾンでその低音域にコントラバスの楽音が床に伝わるその聖なる演奏はアナログオーディオならではの音楽であり、その感動こそ、今の時代、レコードプレーヤーを購入する若い世代の出現というニュース、さあ、これからである。
2026年を迎えるこの師走、祈る、この音楽はとても現代のニーズに合致しているものであり、過去の音楽会から積み重ねの上で、新鮮な音楽に出会いたいものである。オーディオ再生でいうと、右側スピーカーに第2Vnとヴィオラの音楽というもの、ニューイヤーコンサート、ウィーンフィルハーモニーは古典配置の実際を見せている。これは、歴史の積み重ねの成果なのであり、われわれの人生に豊かな糧をもたらしてくれるから、また、このクリケットレコードお客様、どうぞ、よいおとしおむかえください・・・