千曲万来余話その152「ラ・ボエーム、歌劇の名曲を愉しむ」

オペラを、愉しむ人と、余り聞かない人と、好みは分かれるだろう。 オーディオ・ファンの盤友人としては、歌劇の歌詞、ドラマの内容を把握しつつ、歌、人の声の饗宴を存分に楽しんでいる。
男性の声、男声はテノール、バリトン、バスと呼ばれ、高い音域から、低い音域の声と幅広い。 テノールというのは、頭に充分共鳴させて声を響かせ、ベルカント唱法の代名詞エンリコ・カルーソーは、伝説のテノール歌手である。声質はバリトンでありながら、太い声でも高音域まで発声できて、聴く人を惹きつけて、それは、SP録音で愉しむことができるのは、幸せである。幸せという漢字は、上から見ても下から見ても同じ。
ヴァイオリンは、一挺でもって表板と裏板の響きという二種類で、音域による違いを楽しめる。 この表板の響きにあたる男声は、テノールの発声といえる。裏板の響きは、バリトンにあたろうか。バスはチェロの音域と同じである。だから、同じ人の声であっても、テノールは、頭に響きのポイント、ポジションがあって、バスやバリトンは、胸に共鳴させて、響きのポジションは、異なっているのだ。二種類の音味があるというものだ。
女声のソプラノは、頭部共鳴、頭に響きのポイントがある。メッゾソプラノは、胸に響きのポジションがある。 アルトや、コントラルトと呼ばれる音域は、チェストヴォイスといって、胸部共鳴、胸に響きのポジションがある。ちなみに、ボーイソプラノは、少年の頭部発声による歌手のことである。ウィーン少年合唱団は、頭部発声の代名詞、声変わりする前の少年達によるコーラスである。声変わりというのは、少年の声帯が成長して、オクターブほど、声が低くなる変声のことである。
プッチーニ作曲による歌劇ラ・ボエームは、1896年2月1日、トスカニーニの指揮により初演されている。 舞台は1830年のパリ、詩人ロドルフォと、お針子ミミは恋に落ちるが、肺病を患ったミミ、最期は愛する彼の部屋で息を引き取るという青春のオペラ。テノールのカルロ・ベルゴンツィ、ソプラノはレナータ・テヴァルディによるトゥリオ・セラフィン指揮、ローマ聖チェチーリア管弦楽団合唱団の名盤、画家マルチェルロ役をエットーレ・バスティアニーニが歌っている。ステレオ最初期1959年録音の名盤。
九月の満月の夜、RCAピンブラグの音声信号電流の流れる、ピンを磨いた。そうしたら、鳴るわ鳴るわ、人の声の倍音成分が強く再生できた。ビンビン響くテノール、ソプラノの歌声。クリケットレコード、音蔵社長にアドヴァイスされて、極楽のオペラ鑑賞が体験された。感謝、感謝!