千曲万来余話その153「ディアベルリのワルツよる33の変奏曲作品120をめぐって」

オーディオ装置、音質性能の向上は、この上ない悦びであり、マニアにとって人生の糧である。
ひらたく言うと、スピーカーの鳴り方が性能をより発揮することになれば、ご機嫌であると言うことだ。
先日、スピーカーのオイロダイン、フィールド式であるため整流電源部を必要としていて、トランス部が発振しているその微弱なブーンという音が気になった。
早速、その電源部に、板のパイン集成材を敷いてみた。
結果、中音域で音が窮屈だったのが広がった感覚で、低音域も、高音域も伸びやかな音になった。
弦楽トリオを聞くと、左チャンネルのヴァイオリンと、右チャンネルのヴィオラ=アルトの分離、セパレーションが明確になり、中央のチェロの音響が豊かになった。全体の響きが一体として、滑らかになった。
ピアノの独奏曲、ベートーヴェン作曲、ディアベルリ変奏曲を聴いた。
バッハにゴールドベルク変奏曲というアリアと30曲からなる鍵盤楽器のための名曲がある。
ベートーヴェンは、1819年に着手して、1823年に完成している33曲からなる変奏曲を作曲した。
この時期、B氏は荘厳ミサ曲作品123や、第九交響曲作品125をそれぞれ作曲している。
楽譜出版社が企画した、ディアヘルリの創作ワルツを主題とした変奏曲の作曲を、当時ウィーン在住の作曲家に呼びかけた。51人の応募があったようだ。チェルニー、フンメル、シューベルト、12才のリストらが名を連ねていたという。結果的に、ベートーヴェンの長大な作品が、単独で出版されている。
フィリップスのLPレコードで、シュテファン・ビショップの演奏、1967年頃の録音を聴く。
しっかりした打鍵は、和音ハーモニーの音響をしっかり、伝えてくれる。いわゆる倍音が豊かなピアノの演奏である。1960年頃録音された、ゲーザ・アンダのドイツ・グラモフォンのLPレコードは、演奏スタイルが一世代前のもので、今、このように演奏するビアニストは、少ない。性格を弾き分けているのである。
いずれにしろ、和音の打鍵は、倍音を豊かにして、それを見事に再生するアナログレコード、真空管アンプ、レコードプレーヤーの価値を充分に発揮することは、マニアにとって、醍醐味である。